教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2020年3月『流行している感染症』
皆様、こんにちは。近所で流行している感染症のお話をします。
宗像市ではインフルエンザAとBの両方ともみられています。時々、嘔吐から始まる方がおられます。嘔吐が収まった後に下痢はなく(あっても軽く)、翌日から高熱が目立ってきてインフルエンザと診断される事もあります。大流行はしていませんが小学校によっては学級閉鎖もあり、まだ冷え込む日があるようですので引き続きご注意願います。
溶連菌感染症は、一般的には咽頭痛と発熱から始まり、初期症状に気付かれずに経過すると首のリンパ節が腫れたり細かい赤い発疹が全身に出たりします。インフルエンザと同じくらいの数の患者さんがおられます。
感染性胃腸炎も散見されています。人から人に感染する場合と食事から感染する場合があります。牡蛎(かき)は美味しいですが、加熱が不十分だとお腹を壊すことがあります。食べる場合はしっかり火を通しましょう。
マイコプラズマ感染症の発熱は、微熱の人から高熱の人まで幅がありますが、咳が徐々に酷くなり、肺炎になることがあります。インフルエンザの様な鼻の奥に綿棒を入れる検査では陽性になりにくく(喉より肺の奥に多くいるので)、1~2週間あけた2回の血液検査の比較で4倍以上抗体価が上昇しているか、咽頭からの遺伝子増幅法(LAMP法)で遺伝子を検出する事で診断します。検査結果が出るまで数日かかります。適正な抗生物質を投与しても解熱しない場合は、ステロイドを投与します。
他には水痘、ヘルペスウイルス感染症やアデノウイルス感染症も少数ですが見られます。
検査の陽性と陰性についてお話します。検査を行った場合に①真の陽性、②偽の陽性、③偽の陰性、④真の陰性の4種類いずれかになります。①÷(①+③)を「感度」と言い、値が高いと「その病気であることを正しく検査できている」信頼度が高いと解釈されます。④÷(②+④)を「特異度」と言い、値が高いと「その病気でないことを正しく検査できている」信頼度が高いと解釈されます。両方精度が良いと良いのですが、現実的には「感度」と「特異度」が両方とも優れている検査はありません。さらに、検査を行うタイミングが大切な事は、インフルエンザやその他の病気の迅速検査でご理解頂けているかと存じます。
コロナウイルスの流行が国内で始まり過度な悲観も楽観もしてはいけませんが、手洗いまたは手指消毒を小まめにして頂きたいと思います。重症化するメカニズムは明らかにされていませんが、37.5℃以上の発熱が4日以上続いて、息苦しさと倦怠感が日に日に増してくる場合は、福岡県宗像・遠賀保健福祉環境事務所・保健衛生課感染症係0940-36-6098にお電話して下さい。検査を行う対象は重症者または、これから重症になりそうな人(肺炎があり、呼吸障害がおこり始めている方)を最優先にしますので、どうぞご理解下さい。
年長さん、卒園おめでとうございます。
幼稚園生活の締めくくりの時期に大変な状況ですが、今後~将来も様々な出来事が起こると思われますので、地域の人同士で協力しあって困難を乗り越えて行きましょう。
赤間小学校に入学予定のお子さんたちは5月に小学校で会いましょう。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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