教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
園医さんのつぶやき 12月号(その127)【コロナ禍で起こる様々な健康上の問題とは】
園医のつぶやき その127

早いもので12月がやってきました。
新型コロナウイルス感染症の流行も新年早々第6波が始まり、さらに上回る感染者数を出した第7波が7~9月に猛威をふるい、10月以降に第8波が来て徐々に増え続けています。一方で重症者数は感染者数に比べてかなり減っており、2021年の第5波の時の様な混乱は避けられた (首都圏・大阪府近隣は別) 印象です。
 ワクチン接種をしたからといって、必ずしも感染を避けられるとは限りません。しかし、2回よりは3回、3回よりは4回接種された人の方が発熱する日数が少なく、他の症状も軽く済んでいる傾向です。累計で日本の総人口の最低5分の1程度の人が感染していますので、徐々に集団として免疫を獲得できる方向に進むでしょう。
 一方でインフルエンザはこの2年間、国を越えての自由な往来が制限されていたため流行しなかったので、集団として免疫力が落ちていると推測されます。こちらのワクチンも任意ですが、高齢者、幼児、健康上リスクを抱えておられる方、またはその方と同居されている場合は接種をお勧めします。もちろん持病の主治医が接種を避けるべきと判断された場合は見合わせて下さい。
 さて、11月は学校医関係の学会が開催されました。コロナ禍で起こった様々な健康上の問題、つまり運動不足、食生活の乱れや偏り、メンタルの不調、肥満、近視、昼夜逆転、不登校などが、本来学校医の仕事である心臓検診や腎臓検診よりも重点を置かれて討議されていました。さらに、今回は乳幼児期の非認知能力の大切さが強調されました。認知能力、つまり読み書きや計算などの学力も重要ではありますが、それ以上に非認知能力、すなわち①自分と向き合う力(自制心・忍耐力・レジリエンス(困難をはねのける力))、②自分を高める力(自己肯定感。意欲)、③人とかかわる力(コミュニケーション能力・共感する力・思い遣り・社交性など)が社会生活・仕事を円滑に行う上で大切だという事がわかってきました。小学校以上で、成績優秀だけれどまったく友達とうまく関われないお子さんが大なり小なり問題になったりします。
 非認知能力を高めるためには、自主的で夢中になる(外)遊び、読み聞かせ、規則正しい生活、スポーツや芸術への関わり、(大人が)さりげない手伝いや気づかいを褒める、愛情などが有用といわれています。お仕事でお疲れかと思いますが、スマホでYouTubeやゲームをお子さん1人で何時間も(見)させるのは、健康の問題を引き起こすだけでなく、非認知能力の向上を妨げる事になりかねません。宗像地区の保護者さんは実践出来ている方が多いですが、「あれ?我が家はどうかな?」と思われましたら、可能な範囲で試して頂けると幸いです。

冷え込みが厳しくなり感染性胃腸炎も流行しそうですが、楽しいクリスマス会・お正月を迎えられますよう、お祈り申し上げます。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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