教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2018年12月『りんご病・嘔吐下痢・インフルエンザについて』
いよいよ12月です。11月は通称「りんご病」、正式名称「伝染性紅斑」が流行しました。
頬がりんごの様に赤くなり、手足に網目状の皮疹が出るのが特徴です。まれに体の中心部にも網目状の皮疹が出る事もあります。皮膚の症状が出た時には、体の中にはウイルスがいなくなっているという不思議な感染症です。皮膚の症状が出る前の7~10日前にウイルス血症が起こっていますが、発熱、倦怠感がある場合から、全く無症状まで、感染した人の症状の幅は広く、その時に伝染性紅斑の予兆を捉えることは不可能です。また、感染しても全く皮膚症状の出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」の方もいますし、症状が典型的でない不完全な症状の出方をする人もいます。
一生に一度だけ感染します。ワクチンや治療薬はなく、ほとんど良好な経過をたどりますが、生まれつき赤血球に異常がある人は貧血の症状が強く出る可能性があります。だるそうにしている、元気がないなどありましたら、かかりつけ医にお知らせ下さい。
嘔吐下痢≒感染性胃腸炎も引き続き流行が継続しています。手洗い、うがいを励行して、家庭で嘔吐した場合は、洗浄・消毒をお願いします。医療機関では、吐物からは検査できません。ノロウイルスの検査は便からおこないますが、3歳未満、65歳以上の方には保険適応があります。それ以外の方の外来での保険適応はありませんが、保護者の中に食品を取り扱う方がおられる場合は、かかりつけ医と私費(実費をご自身で負担して頂く事)で行うかご相談なさって下さい。医療機関で行う検査では、「感染していない証明」はできませんのでご注意下さい。食品をお取り扱いされている方はお勤め先に相談されて下さい。
他の施設でロタウイルス腸炎の方もおられます。症状は強くない事が多いですが、ノロウイルスに比べて下痢の続く期間が長くなる傾向があります。脱水にご注意してください。嘔吐物や下痢など、取扱い時の注意はノロウイルスに準じて行って下さい。
インフルエンザも11月第4週末から少し増えました。発熱初日に検査陽性にならない事が少なくありません。早く診断をつけて欲しいお気持ちは痛いほど理解しておりますが、体の中でウイルスが増えるスピードの個人差が大きいために、陽性になるタイミングが非常にバラつきます。初日~1日後に陰性だと言うのは、ただ単に検出感度以下だという事で、インフルエンザでない事の証明にはなりません。ややこしいですが、どうぞ冷静に対応して頂く様お願い致します。なお、呼びかけても反応がないなど意識レベルの低下を来している場合や、全く水分も食事も摂取できないほど全身状態が不良である場合は、インフルエンザかどうかを診断することよりも、救命処置が優先になります。かかりつけ医に相談されるか、救急車が必要かどうか迷う場合は#7119に御相談下さい。
規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動、年末の忙しい時期、労働人口が減少している時代にきれい事ばかり言うなとお叱りを受けそうですが、それに勝る方法はないように思います。どうか無理をなさらず、皆様、楽しいクリスマス会を迎え
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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