教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2017年1月「インフルエンザ」
新年を迎えました。
昨年は本当に色々ありましたが、被災した知人たちの前向きな言葉に感動致しております。
そろそろ流行してきましたので、インフルエンザについてお話しさせて頂きます。
【インフルエンザの症状とは】
インフルエンザの症状は色々ありますが、幼児は高熱で始まる事が多い印象です。最初からひどい咳や鼻汁で始まる事は例外的で、発熱して1日~数日間で咳や鼻汁がみられます。
時々、嘔吐から始まる場合もあり、感染性胃腸炎の初期症状と見分けがつきにくい事がありますが、インフルエンザの消化器症状は長く続かない傾向にあり、翌日には発熱と他の症状の組み合わせに変化することが多くなります。
【インフルエンザの検査のタイミング】
インフルエンザの検査のベストなタイミングは「個人差が非常に大きい」と言えます。体内でインフルエンザウイルスが増殖するスピードは人によってバラバラです。ですので、診察医の指示(お子さんの状況を拝見して、検査を今するのか、数時間待って頂くのか判断します)に従って頂けると助かります。幼稚園や小学校、中学校などから「インフルエンザの検査をしてくる様に言われた」と言われる方がおられますが、他の病気の可能性が高い場合や、発熱した直後(例;1時間以内)には役に立たない検査になってしまいます。「今、インフルエンザの子がクラスに〇人くらいいます。溶連菌の子が〇人います。嘔吐下痢の子が〇人います。」という情報は非常にありがたいので、お仕事の途中で呼び出されてもイライラされずに、本人の状態の変化(〇時までは元気だったけど、〇時にぐったりして熱を測ったら38.5℃だった)と上記の状況を担任の先生に確認して、医療機関でお伝え頂ければ有り難いです。
また、複数の医療機関に受診される方、止む終えずお子さんを代理の方にお願いする際には、必ず「最新の」お薬手帳を持参または預けて下さい。
【インフルエンザを含め高熱のお子さんへの対応】
熱性けいれんの既往があり、ダイアップ坐薬を使用することになっている方は、主治医の指示通りに対応して下さい。
持病や主治医からの特別な指示がない方は、体温が高くても、周囲への反応が素早い、または、すやすや眠っている場合は、しばらく様子を見て頂いてよろしいでしょう。
体温がそんなに高くないのに、周囲への反応が鈍かったり、呼吸が荒い場合、嘔吐が2~3回続く場合には早めに医療機関に受診しましょう。インフルエンザの診断のタイミングより、点滴や二次病院への紹介などを含め、全身管理を優先すべき対象となります。
【インフルエンザの治療について】
抗インフルエンザ薬の使用については、日本と世界でかなり差があります。持病がないお子さんは、同薬の使用は必須ではありませんので、タミフルを飲んでくれないからと言って落ち込んだり、お子さんを叱ったりする必要はありません。全身状態をしっかり観察して、水分摂取や食事ができる様、サポートをお願いします。抗インフルエンザ薬で、発熱期間を1日程度短縮できる、と言われています。インフルエンザウイルスの増殖を止める作用があるだけで、体内からインフルエンザウイルスを排除することはできません。早めに熱が下がっても、下記の決められた通りお休みして頂く様お願い致します。
【インフルエンザ後の登園について】
発熱した日をゼロ日として、翌日から1日目と数え始めて5日目まで最低限お休みです。2日目までに解熱した場合は6日目から登園可能ですが、3日目以降に解熱した場合は、解熱した日をゼロとして、翌日から1日目と数えて3日目までお休みが必要です。登園可能かどうかも大切ですが、発病して3日~4日で改善が見られない場合は小児科を受診して下さい。細菌感染の合併がないか?二次医療機関への紹介が必要か?などのチェックが必要です。
【結び】
 インフルエンザワクチンだけで予防するのは困難ですので、夜更かしをせず、バランスの良い食事をお摂り下さい。
ごく一部ですが、水痘ワクチンを2回接種した人でも水痘に罹患してしまっている方がいらっしゃいます。
冬は他にも色々と感染症が流行します。どうぞ、皆様ご自愛下さい。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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