教育改革の推進

健康管理

園医さんのワンポイントアドバイス

幼稚園の園医さんによるワンポイントアドバイスをご紹介します。幼稚園園医 宮原小児科医院 宮原道生先生です。
2月 園医さんのつぶやき 「溶連菌(ようれんきん)について」
寒い日が続いておりますが、お届けする頃に幼稚園でインフルエンザが流行していないことを願います。
さて、今回は溶連菌(ようれんきん)についてお話したいと思います。比較的珍しくない病気ですが、しばしば「溶連菌、って何ですか?」とご質問頂きます。溶連菌とは、溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)の略です。細菌を検査する際に、まず細菌を培養して数を増やします。その増えてきた細菌が何であるか?を調べる際、連鎖球菌の場合はヒツジの赤血球を使った寒天培地を使い、そこで血液を不完全に溶かすものをα、完全に溶かす(完全溶血)ものをβ、血液を溶かさないものをγと区別します。光学顕微鏡で見ると鎖がつながって見えるので、文字通り、「連鎖」球菌と名前がついています。細胞壁多糖体の抗原性でA~H, K~Vに分類されますが、診療所でその場でわかるのはAのみです。他は細菌培養検査で同定するのに数日~1週間ほど時間がかかります。一般的には溶連菌とはA群β溶血性の連鎖球菌のことを指します。
どんな病気か?と言いますと、突然熱が出る、翌日または2日後には自然に下がる、だけど喉が相当痛い、唾を飲み込む時に痛いという訴えでお出でになられます。ごくまれに1~2日発熱して、自然に解熱したけれど、数日後に発疹が出た、という方もおられます。
夏場では伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん=とびひ)として見かけます。小児科領域では少ないですが、壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん=俗にいう「人喰いバクテリア」)という恐ろしい状態になることもあります。水痘に壊死性筋膜炎が合併すると、生命の危険にさらされることがありますので、要注意(医師、患者さん共に)です。
隔離に関しましては、学校保健安全法では抗生物質を1~2日しっかり内服できて、解熱して元気であれば登校・登園可能となっておりますが、抗生物質を1~2日内服して止めてしまうと再燃(さいねん=ぶりかえす)することが知られております。病気を放置したり、中途半端な治療を行うと急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)をおこすことがあります。肉眼的血尿(にくがんてきけつにょう=真っ赤なおしっこ)、乏尿(ぼうにょう=おしっこが出なくなる)などの症状が出て、重症の場合は入院が必要になります。
典型的な咽頭炎の場合は、咽頭発赤(いんとうほっせき=喉が真っ赤)、扁桃腺に白苔(はくたい)が付着します。しかし、全く喉が赤くならない方もおられるので、診断が難しいことがあります(他にも喉が痛くなる病気、ライノウイルス感染症などもあるので)。逆に、典型的な咽頭所見を示しておられても、溶連菌の迅速検査で陽性に出ない方もおられます。その時は、C群やG群の連鎖球菌が原因の場合もあります。治療はA群に準じて行います。予防する抗体は体の中で作る事ができないので、何歳になっても感染しますし、兄弟や家族の間で何度も繰り返し感染を起こし続けるケースもありますので、その時はご家族同時に治療することもあります。うがい、手洗い、回し飲み、回し食いを避ける様にお願いします。
<園医>宮原小児科医院 宮原道生先生
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