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栄養士さんのワンポイントアドバイス

第12回 栄養士さんのつぶやき 『だし』
『だし』

2013年、12月、ユネスコの無形文化遺産に「和食・日本人の伝統的な食文化」の登録が正式に決まりました。和食の継承に危機感を持った京都の料理人が発案したようです。食に関する無形文化遺産にはメキシコの伝統料理、フランスの美食術など4件が登録されています。今回和食のほか、韓国のキムチ作りの文化、古代グルジアの伝統的な発酵ワイン作り、トルココーヒーの文化と伝統の計4件が登録されました。
和食の基本はだし!だしはかつお節、干しいたけ、昆布、煮干し(いりこ)のいずれかを水に浸して煮てから作るもので、香りとうまみからできています。だしのうまみにはイノシン酸(主にかつお節、煮干し)、グルタミン酸(主に昆布)、グアニル酸(主に干しいたけ)の3つの成分があります。
 料理の基本の味には塩味、甘味、酸味、苦味があり、最後にうまみが加わりました。これは、約100年前に昆布成分を研究した日本人が、その中心がグルタミン酸ナトリウムであることを発見し、この味を「うまみ」と名付けたからです。そしてその翌年(1909年)には世界初のうまみ調味料「味の素」が発売されました。
 4つの素材は、乾燥していて、保存もきき、持ち運びにも便利です。しかも、西洋料理のソースに比べて、短い時間でだしが取れます。食材の色や、そのものの味を引き立たせる役割を果たし、「いいかおり、いい味」は精進料理を通じて極められたようです。
 ある雑誌のアンケートで、料理本の材料に「だし汁」と書いている時にどのようなものを使いますか?というのがありました。かつお節等を使って自分でだしをとると答えた人が約20%であるのに対し、顆粒状のだしの素を使うと答えた人が約70%でした。だしを取らない人が増え「手軽に」との傾向が進んでいます。
 うすい味だが風味豊かなだしの味は、子どもの頃からの体験を重ねてこそ「いいかおり、いい味」は感じられるようになるものです。この「和食」文化遺産登録を機に、もう一度私達の食生活を見直したいものです。家庭にも「お・も・て・な・し」のこころを…!!
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